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こんにちは、赤石です。

ニットにまつわる色々を発信していますが、『そういえばニットってなんで伸びるの?』というニットの調基本的な特徴について書きたいと思います。

 

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ニットと布帛の違い

まず、洋服などに使われるテキスタイルは布帛とニットと(あと皮とかも)ありますが、構造が違います。

布帛(織り)は、何本もの縦糸に、横糸を通して織り込んでいきます。
下の写真のように、縦と横の糸が交差する構造になっています。

織り機は見たことがある人も多いですよね。

下の写真の糸がたくさん並んでいるのが縦糸で、その間に横糸を通して織っていきます。

※工業用はもちろん機械です。

 

対してニットは1本の糸をループ状に編むことで作られます。

ループ状というのは、下図のような状態。

このループの目を重ねていくことで編み目を作っていきます。

この構造がニットの特徴すべてにつながっていて、結論からいうと

ループ構造だからニットは伸びるのです。

 

ループ構造がなぜ伸びるのか

詳しく説明してみます。

一本の糸で編まれているニットの編み地は、糸を引っ張っていくとどんどんほどけていきます。
(なのでニットの服で糸が出ていたり切れていたりしたものを安易に引っ張ると大変なことになります)

ほどいた糸を見てみると、ラーメンみたいに縮れていますね。

この縮れているうねり1個分が、編み地1目分になります。

1目を作るのに、この長さが必要という事になりますね。

さらに糸をほどいてみると、編み地に対して長いことがわかります。

さらに、編まれる前の糸の長さはというと、、、

全然編み地の巾と糸の長さが違いますよね。

糸の長さに対して、編み地は1/3~1/4くらい。
40㎝の長さで編めるのは約10㎝分の編み目ということになります。(天竺の場合)

 

そしてその長さを使ってループ形状を作っていることで、編み目に隙間ができるんですね。

隙間が空いているということは、糸が動く余地があるということです。
引っ張っられると、この長さで動ける範囲は縦横ナナメ、どんな風にでも動く。

1目1目が少しづつ動くので、編み地全体が伸びて行きます。

ループ構造=編み地の巾に対して糸が長い=糸が動く余白がある=伸びる

ということです。

 

糸はそのままの状態では伸びませんが、ループになっている分伸びるのが伝わりましたでしょうか?

 

また、糸が元のループの形に戻ろうとして、編み地が縮みます。
さらに編み地を一度洗うと(縮絨、ソーピングなどの加工)、糸がループの形に癖付けられて安定するので、編み地全体がきれいにな編み目に安定しやすくなります。

ニットの加工は、編み地の安定のためにもとても大切です。

 

伸び方の違いとストレッチ糸

同じ糸の太さでも、1目のループの大きさ(1目分の糸の長さ)が大きいとそれだけ動く余地があるので、伸びます。
逆にループの大きさが小さいと伸び率は小さくなります。
編み地の”度目”はこのループの大きさを調整しています。

よって基本的に度目が甘い方が伸びやすく、度目が詰まっている方が伸びにくくなります。

 

もちろん、糸自体が伸び縮みするような性質をもった糸もあります。
ストレッチ糸と呼ばれる糸ですが、その名の通りこれは糸自体が伸び縮みするので、目がきゅっと詰まって弾力性のある編地になるのが特徴です。

伸びやすいというよりも、縮みやすい、伸びても元に戻りやすいというのが糸のストレッチです。

ストレッチを出せる素材は限られますが、ポリエステルやポリウレタンが入っていることが多いですね。

編み出しやリブに入れることの多いダスリーやマルロンもストレッチ糸で、ストレッチ性のない糸の補助的な役割として、伸ばしたくない部分に入れると編み地が伸びても元に戻りやすくなります。

 

まとめ

先日、展示会で行われたセミナーで、導入の話に使われていたのですが、改めて糸の長さを比べて説明されるとそっかー!と思わず納得してしまいました。
(そして記事にさせてもらいました。)

知っていても説明はできないことも多いですね。
改めて勉強になりました。

ニットの特徴は、伸びる、縮む、比較的しわになりにくい、柔らかい、などですが、これらはこのループ構造からくる特徴です。

これを理解しておくと、ニットへの理解が深まると思います。

参考になれば幸いです。

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