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2017SSテーマ

こんにちは。大久保ちせです。今年も2016年1月27・28・29日で開催されたPITTI FILATI78(ピッティフィラティ)に行ってきました。
最先端ファッションの国イタリア。世界遺産の街”フィレンツェ”で行われるPITTI FILATIという糸の展示会にはテーマがあります。
展示会全体にテーマを設けてトレンドを打ち出しています。
私は、ファッショントレンドをつくる上でテーマというのは必要だと考えています。

テーマっていうけど、実際はどうなの?どんな糸がトレンドなの?文章で言われてもねぇ・・・。
とせっかちな方もいらっしゃいますが、どんなデザインにしようか?と考えるときに、どのような思考回路で考えていますか?

感覚的にパッと浮かぶ方もいますが、そうではない方もいると思いますし、その時々によって違うということもあるかと思います。
そんなときに、必要なのがテーマです。
アイディアをどのように考えて出したらよいのか、テーマの文章から得た情報のヒントにしていただけると良いかと思います。

ということで、このブログではトレンドテーマについてご紹介します。少し難しい文章ですが、最後までお付き合いいただけると嬉しいです。

2017SSトレンドカラーについて書いたブログはこちら↓↓↓
PITTI FILATI78からの2017春夏トレンド分析まとめ~トレンドカラー編~

 

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PITTI FILATI78(2016春夏)のトレンドテーマ

PITTI78テーマ

MATERIALITY

トレンドテーマのロゴは、2つに分かれています。これは2つの言葉を意味しています。

Material: 材料/素材

Reality: 真実

素材の真実に注目したデザイン発想をすることをトレンドテーマとしています。
素材の真実とは、どのようなことなのかをご紹介します。

 

産業廃棄物が原料となり無駄が限りなくゼロになった好循環を作り出すことも可能な世の中になってきています。

合成や化学繊維のように原料となる物質はほかの材料から作り出されているものも多くあります。それは新しいものへと形を変えるということ。
つまり、ひとつの終わりは新しい良い経済循環の始まり。

循環経済。→創造力とデザインはこの仕組みの原動力。

このような技術は私たちが今まで慣れ親しんできたものとは全く違うデザインへの可能性をひめています。

型にはまらない、予想されなかったやり方が面白い創造物を作り出していることから、素材づくりへの特別な調査と実験は未来を予想し再考することを目的としています。

スタイルの高い自由度と色の個人的解釈を特徴とする時代に、トレンドに沿った、たったひとつのやり方を確認することはほとんど不可能。

素材と新しい創造の仕方に着目することは、欲求、消費、未来の創造を知らせる重要な世界のトレンドをもたらします。

昨シーズンではMAKE IT=手作業に注目しました。
今回は型にはまらない創作方法や物理的側面に注目します。

 

まとめると・・・

Materiality とは、

素材/材料は、習慣や今までのやり方から全く異なる、世界を見る新しいやり方を作り出すキーになります。
素材/材料は、新たな本質、可能性、現実性へと変化するということです。

では、どんな素材/材料から創造性を生み出すのが、具体例が10つ提示されていました。
トレンドキワードとしてご紹介します。

 

トレンドキーワード

POLYMER

POLY-MER

夏のトレンドにおいて海は重要。海の廃棄物は環境問題であり資源でもあります。
海をきれいにすることは環境を守ることにもなり、同時に材料を集めることにもなる。
海の生き物とゴミ(プラスチックやビニール)の2つを材料ととらえています。
このテーマでは、カラフルで、プラスチックのような糸を使ったサマーツイードや大きな色のプラスチックのパッチが施された厚めのナチュラルなニットがあります。

BISCUIT

BISCUIT

魅力的な場所や美しい景色。
アースカラーと生・料理されたようなもののコントラストが新しい、ダスティーで粉っぽく、銀、硫黄色の自然を引き立てる。
コンパクトでソフト、ユニセックスの服は自然のなかでもとても快適。コントラストと地層のように表現しています。

PULP

PULP

有機パルプ
樹脂を含んだ有機素材の潜在性と柔軟性を活かしたデザインにおける新しい試みです。
大きく刻んで合わせた 藻、朝鮮アザミ、コルク、木、ドライフラワーは非凡なツイードと自然の質感からインスパイアされたものです。
組み合わされた材料はパルプのでこぼこ感を伝えています。
表面はくすんで乾燥しているが、玉虫色のような色をしているなど、さまざまな要素を持ち合わせています。

3B’S PRINTING

3B'S PRINTING

虫、特に整理された効率性を象徴する蜂を扱っています。
そして、3Dプリンターを掛け合わせています。
3Dプリンターは革命的なデザイン、構造、アートを持ち、幅広い様々な素材に適応可能。
生物が作り出す緻密な自然の仕組みによって創りだされたモノを人の手によって表現することができます。
蜜や琥珀、蜂ろうは赤と青のインクによって壊された色合いや、 虫によって残された穴や編み目、線などによってあらわされたリッチで深みのある質感を表現しています。

CONCRETION

CONCRETION

美しい水晶を素晴らしい色で表現。
自然、人為的な結晶性形成が魅力的で抒情的なテーマに近づけます。
水晶、樹脂、セメント、塩、そして壊れた岩という自然と人工の組み合わせは豪華で洗練された糸のインスピレーションになります。
色調は鉱物結晶からとったもので、ホワイトウォッシュによって薄められています。

INDVSTRIA

INDVSTRIA
様々な異なる色で表面と表面処理を強調。
新たな工業の原始状態がこのテーマのインスピレーション。
既製品に光沢があって清潔感のある、漆塗りや、メタリックな要素をプラスすることによってスポーツウェアやストリートスタイルにもぴったりです。
金属や光沢のある漆塗の表面が視覚効果をもたらします。

REWOODLUTION

REWOODLUTION

繊維の世界からのナチュラルな見た目が、木から紙が作り出される空気感を出しています。
木は強度と軽度を兼ね備え、見た目の良さと温かみをもつ延性材料。
デザインはいくつかのプロセスによって木を物質化または非物質化し、それぞれが糸やニットを作り出すユニークなアイディアをもたらします。
様々な色調の水のカラーは木をあたたかい触感グラスのようなものに変換させています。

TRANS-GLOSS

TRANS-GLOSS

色使いとその雰囲気がこのテーマの透明度とグラス製造のもっとも大切な作業を通しての影響を印象付けている。
新しいグラス製造の工程がユニークな色使いと表情を作り出している。
幾重にも重なりあう様々な色の層が虹色の効果を創りだしている。

STAMINALIA

STAMINALIA

デザインの改良により道具が発達することで、対外培養細胞の人を助け、癒す可能性を探ります。
色は人工移植片と肌の色合いとガラスのような白です。線形で必要最低限の服が肌を目立たせるように作られています。

GROWDUCE

GROWDUCE

これは、菌類・藻・細菌・微生物などの有機物を利用して材料、表面、既製品、プリント、効果、染めを創り出す可能性を探すテーマ。
様々な種類の藻の鮮やかな色が水の効果とともに広がり、素材を引き立てます。自然なパステルカラーはグリーン・オレンジ、ブルー。

 

まとめ

私の好きな芸術家「ガレ」を思い出しました。彼の名言には「植物学に対する私の愛をわかっていただければ、私の作品についてもっと多くを理解し ていただけることでしょう」自然を研究することによって新しいデザインの可能性を追求した言葉です。新しいデザインを追求するには、自然をよく研究し知ることから始まるということです。
今回は、材料が作られる過程を研究し知ることによって、生まれる新しい価値観がデザインを創造することにつながるのだと言っています。
今までは、そんなところから発想するとは考えもしなかったので、おもしろみを感じました。自然が作り出すものの美しさと、 高度な技術が生み出す人工的なものそれぞれにおもしろみと美しさがあると知りました。そんな好奇心をいつまでも持っていたいと思います。

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大久保 千聖

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記事を書いた人

小さい頃から編み物が大好き!文化服装学院ニット科を卒業後、丸安毛糸に入社。ニットに関する知識や情報がアイディアのきっかけになればと思っています。
また大好きな編み物の楽しさを多くの人に広めたいと手芸ブランド「60ろくまる」を立ち上げました!

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